「高級食材」と呼ばれる毛蟹の旬はいつ?


三大蟹の1つで上品な身の甘さと濃厚でクリーミーなカニミソが特徴の蟹です。大きさは甲羅の大きさで大体12cmと小さく、ズワイガニやタラバガニと比べると身が少なく食べ辛いです。しかし身の上品な甘さと濃厚なカニミソは、毛蟹を高級食材に押し上げるほど旨みが凝縮してるのです。


旬カレンダー

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

※赤色、オレンジ色の月が旬です。漁場を変えることで年中獲れます。日本(岩手や北海道)だと12月〜2月頃が旬ですが、オホーツクでは4月〜7月頃が旬です。3月、8月はなるべく避けた方がいいでしょう。


漁期は北海道全体を見渡した場合、ほぼ通年漁が行われますが漁獲場所は異なり、春はオホーツク海、夏は噴火湾、秋は釧路および根室沿岸、冬は十勝沿岸となります。だから購入する時は購入時期を考えて「オホーツク産」や「釧路産」など産地に注目した方がいいですね。


生息地と繁殖
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毛ガニの生息地は日本海沿岸、茨城県以北の太平洋岸からアラスカ沿岸まで、太平洋北西部とその縁海に広く分布し、水深30m〜200mほどの砂泥底に生息しています。


通常繁殖期は春なのですが脱皮周期が他の固体とズレた場合は冬に繁殖を始めるものも少数おり、交尾や卵の放出時期は生息域の海水温により変動します。メスは産卵後しか脱皮出来ないためオスより成長が遅れてしまいます。しかも繁殖力も低いので乱獲されると中々漁獲量が回復しないのです。


そのため漁期や漁法は資源保護の観点から制限されてますが、明確な取り決めが無いため自治体や漁協の自主規制により漁獲可能な時期と漁法、漁獲量が各地で異なります。ちなみに北海道だとカニ篭漁で漁獲され甲長8cm以上のオスのみの漁獲が許可されてます。甲羅の柔らかい(軟甲ガニ)ものは捕獲せず放流する取り決めになってます。


近年は抱卵したメスを捕獲して放出した幼生を稚ガニまで育成して放流する取り組みもも行われてますが、漁獲対象となるのが甲長8cmを超えるオスだけでなので雄雌比に著しい偏りが生じています。雄雌比の偏りによって安定した繁殖に影響を与えてるのではないかと考えられてます。


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元々食用じゃなかった?

毛蟹は元々日本では食用とされず1913年頃には何と肥料として利用してたそうです。なんて勿体無い事を当時の人はしてたんでしょうね。多分身が少なく食べ辛かったのと味覚が当時の人と現代の人では違ったんでしょうね。それから1934年頃になってようやく食用として使われるようになったのですが、それでも今の「高級食材」とは程遠い「食用の缶詰」として利用されるようになったレベルだったんですね。


それ意外でも今では「高級食材」で庶民の手には届きにくい食べ物だけど昔は見向きもされなかった食材や料理は沢山ありますよね。例えば秋の味覚の王様「松茸(マツタケ)」なんて昔は沢山量が採れた為に価値としては普通のキノコ類と大差無かったそうです。


マグロの大トロも江戸時代までは脂が多すぎて当時の人には好まれず捨ててた部位だったそうです。大トロよりも赤身やヅケの方が価値があったそうです。今だと考えられないことですよね。お寿司も江戸時代は屋台のファーストフード的なステータスだったそうです。


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類似種のクリガニには気をつけて!

毛ガニの類似種(クリガニ科)で「クリガニ」がよく代用品として安い缶詰等の材料として使われることがあります。毛蟹もクリガニ科で別名オオクリガニと呼ばれており非常に似ています。クリガニは朝鮮半島東岸、北海道東部からカリフォルニア州沿岸まで広く分布し、浅い海域に生息しています。クリガニは生息水深が浅い為に海に餌を入れた篭を投げ入れて簡単に獲れるため値段も安く味も落ちます。


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安いクリガニを毛蟹と偽って販売したり、偽装して料理として出したりする悪徳業者もいるため気をつけましょう。クリガニの特徴は甲の両側が横に尖り甲の形が五角形に近いです。しかしこれだけだと判断が難しいので輸入元、加工地、産地から判断する方がいいでしょう。輸入元、加工地、産地の何れかに朝鮮半島やアメリカ(カルフォルニア沿岸)などの記載のある缶詰やパック品、スーパーの加工品等は注意が必要です。


最近有名ホテルやレストランでも食品表示ミス(偽装?)が大きな社会問題となってますが、やはり名の通った旅館のお土産や産地ブランドの毛蟹を買うのが一番安全です。「雄武産」「稚内産」「根室産」など名の通ったブランドや産地の名前が付いたものを選びましょう。


見た目での判断は、やはり手に取って見るのが一番ですがインターネット通販の場合は上記のような全体像の対比写真が無く、一部分の写真や茹でた時の遠目の写真、調理済みの画像など写真だけでの判断が難しい場合があります。特にインターネット通販の特徴として「商品が到着するまで分からない」というのが難点です。


この場合の消費者側の対策としては「レシートを保管しておく」という事と「注文メールを保管しておく」という事、「配送伝票を保管しておく」ということです。後で「返品、返金、交換」の時に必ず必要になるので大切に保管しておきましょう。またインターネット通販の場合は「購入したホームページの商品ページ」をプリンターで印刷できるので、出来ればコマメに印刷しておきましょう。そのページを印刷しておけば、その商品ページには「毛蟹」と書かれてるのに送られて来たカニが「クリガニ」だった場合は詐欺販売の証拠になります。